美唄・岩見沢シンポジウム

日本とウェールズにおける炭鉱の記憶

地域再生へのアーカイブズと社会教育の役割

夕張市の財政破綻に象徴されるように、国の地域政策が転換するなかで苦境にあえぐ空知旧産炭地ですが、新しいまちづくり展開の胎動も見え始めています。北海道空知支庁が今年策定した「元気そらち!産炭地域活性化計画」においては、記憶を振り捨てて「新しいもの」「時代の流れ」を追い求めてきたこれまでのあり方を反省して、逆に産炭地としての歴史を見据え地域再生の道を探る方向性が示されています。また、国内外の旧産炭地と交流する中で、「炭鉱」という普遍言語をもつ人々が励ましあい、誇りを取り戻すことの重要性も指摘されています。今回のシンポジウムは、この趣旨にのっとり、英国南ウェールズ地域との交流を開始するために、また「記録(アーカイブズ)・記憶」と「社会教育」を大事にしてきた当地の取り組みを学ぶために設定されたものです。日本側からも、常磐や九州などの旧産炭地を研究する研究者に報告いただき、個別産炭地域の枠をこえて再生の方策を探ります。

プログラム

8月7日(金) 会場:アルテピアッツァ美唄(美唄市落合町栄町)
13:00 日本における産炭地の衰退と再生:比較のための文脈
              中澤秀雄(中央大学)
14:00 ~九州における炭鉱コミュニティ・生活・記憶~

  1. 端島炭鉱「軍艦島」の生活 井上博登(早稲田大学)
  2. 三井炭鉱における社宅コミュニティ 西牟田真希(関西学院大学)
  3. 炭鉱の島をめぐる記憶の再生‐「軍艦島」端島炭鉱を事例として 木村至聖(日本学術振興会特別研究員・京都大学)

16:00
17:00 終了

8月8日(土) 会場:岩見沢コミュティプラザ2階Aホール(岩見沢市有明南1番地20 JR岩見沢駅隣)
10:00 基調講演 石炭産業の盛衰:南ウェールズと北海道の比較に関する考察
             クリス・ウィリアムズ(スウォンジー大学)
11:30 南ウェールズ産炭地コレクション:過去、現在そして未来
             エリザベス・ベネット、シアン・ウィリアムズ(スウォンジー大学)
12:30 ~休憩~
13:30 ウェールズにおけるコミュニティ再生と社会教育:女性たちの経験
             ジェーン・エリオット(スウォンジー大学)
14:30 常磐における地域再生と離職者追跡アーカイブの役割
             嶋崎尚子(早稲田大学)、澤口恵一(大正大学)
15:30 ~休憩~
16:00 空知における地域再生と記憶の役割
             吉岡宏高(NPO法人炭鉱の記憶推進事業団・札幌国際大学)
17:00 ディスカッション
18:00 終了
            ~シンポジウム終了後、希望者による懇親会(有料)を予定しています~

※両日とも参加無料・通訳付きです。
※問い合せ先:中澤秀雄(中央大学) TEL:042-674-3204